まんがタイムきらら掲載中の「ゆゆ式」、次号と次々号休載することが発表

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芳文社が発行するまんがタイムきららに掲載中の「ゆゆ式」が次号と次々号の掲載を休載することが6月9日、まんがタイムきらら編集部の公式Xと、作者の三上小又氏の公式Xにて発表された。次回の掲載は10月号を予定しているとのこと。

日常系学園マンガとして知られる「ゆゆ式」

「ゆゆ式」は芳文社の月刊4コマ漫画雑誌「まんがタイムきらら」に2008年2月号にゲスト掲載された後、2008年4月号から現在まで掲載される長寿漫画だ。

女子高校生のゆずこ、唯、縁の3人が『情報処理部』という部活に所属し、まったりと繰り広げられる日常的な学園生活の模様が描かれる漫画だ。2012年8月にテレビアニメ化が発表され、2013年4月から6月までテレビ放映され、コミックは2025年6月現在は14巻が販売中だ。

なお、テレビアニメ放映から約5年後となる2017年2月22日にオリジナルビデオアニメ(OVA)が発売され、その人気の根強さをうかがわせる。

筆者がアニメや漫画を好きになったきっかけの一つとなる作品

実は筆者はもともと、アニメや漫画をそこまで身近には感じていなかった。これは現在となっては後悔している人生の損をした出来事の一つであると筆者は自信を持って言える。

筆者はもともと「名探偵コナン」のような国民的な漫画やアニメ以外にハマることはなかった。理由はよくわからない。本当によくわからない。なんとなく想像してみると、アニメは一般に深夜帯に放映されることが多く、学生だった筆者は早寝早起きをする健康優良児だったからアニメにハマらなかったのかもしれない。いいや、そんなことはない。なぜなら筆者はニッポン放送の深夜ラジオ「オールナイトニッポン」のヘビーリスナーだった。特に「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」は毎週楽しく拝聴していた。

では一体なぜアニメや漫画にハマらなかったのか。もしかすると、漫画への忌避感があったのかもしれない。小学生のころコロコロコミックやコミックボンボンをよく読んでいた。しかし、中学生以降は好みが変わり、コロコロコミックなどを購入する機会が明確に減った。その結果、アニメを視聴する機会も減っていった。特に中学での部活動による拘束時間の増加は、可処分時間を大きく減らす要因となった。新しい漫画を読むという行為そのものよりも別のことに限られた可処分時間を充てようと変化をしたのかもしれない。

いずれにしてもこれを筆者は愚かなことをしたと後悔している。

アニメの地域格差問題

また、筆者が漫画やアニメから離れた要因にはアニメの地域格差問題という大きなものもあったと今にして思えば感じる。

筆者が学生時代を過ごした平成の時代はまだまだアニメは深夜帯に放映されるだけではなく、地域による格差も大きかった。当時はアニメを放映するテレビ局は独立局と呼ばれる「TOKYO MX」のような局が多く、なかなか日本全国で多くのアニメにリアルタイムで接する機会は存在しなかった。

それが解決したのがインターネットの登場である。(もちろん違法視聴は絶対にダメであることは明記しておく)

筆者は大学時代の同期に「ニコニコ動画/生放送」でアニメを視聴することができることを教えてもらった。これが筆者にとっても、アニメ業界にとっても革命的な出来事であったと思う。「TOKYO MX」のような独立局が存在しない地域でもアニメを”ほぼ”リアルタイムで、しかも好きなタイミングで視聴することができるようになったのは重大な変化だ。

そして、私はそれゆえに「ゆゆ式」に出会うことができた。「ニコニコ動画/ニコニコ生放送」には感謝しかない。

なぜ「ゆゆ式」が筆者の心を動かしたのか?

この記事の読者の皆さんは”なぜ”「ゆゆ式」が筆者の心を動かしたのかを早く読みたいであろう。筆者の前振りがとても長いことをまずはお詫びしたい。

ここからは「ゆゆ式」について語らせてもらう。

まず、「ゆゆ式」という作品に出会い、アニメを視聴したときに思ったのは「こういうのでいいんだよ」という感想である。肩の力を抜いて自然な気持ちで視聴し読書することができる、そんな素晴らしい作品であると筆者は感じる。

秀逸なのは、友人間のなんの気もない緩い会話がもたらす日々のリアルな日常生活からの逃避にとてもよく感じられた。特に筆者は2013年当時、大学5年目に突入しており人生がめまぐるしく変化する瞬間でもあった。それだけに、学生時代の緩い関係性の会話というものに癒されるのだった。

また、この作品のポイントは「意味のない会話に意味があること」であると筆者は考える。これは多くの人にはなかなか理解をしてもらえないのだが、日常生活の会話なんて99%くらいは意味のない会話で成立していると筆者は考えており、その意味のない会話そのものが意味をなしている空間作りといういう意味で「ゆゆ式」が筆者にとって誰かにおすすめしたい漫画・アニメとして挙げられ心に残り続けているのだと考える。

筆者は人生ではじめて「名探偵コナン」のような国民的な漫画・アニメ以外の作品にハマったのが「ゆゆ式」で本当によかったと今でも思う。そして「ゆゆ式」に触れたこと、出会えたことでより多くの作品に触れる機会の創出につながった。本当に感謝してもしきれない素晴らしい作品である。筆者は「ゆゆ式」の後に「氷菓」・「SHIROBAKO」・「東京レイヴンズ」・「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」など様々な作品に筆者は魅入られていくわけだが、それはまた別の物語である。

「ゆゆ式」の魅力としてのアニメ作品

ここまで筆者は映像作品、つまりアニメ作品として語ってきた。もちろん本家の漫画も素晴らしいのだが、あえてここでは「アニメ作品」としての「ゆゆ式」にフォーカスしたい。なぜならアニメ「ゆゆ式」にハマったことがきっかけで多くの小説・アニメ・漫画にハマることができた。それならばこの記事ではアニメ作品としての「ゆゆ式」として記事を進めたいと考える。また別の機会に改めて漫画「ゆゆ式」について触れさせてもらいたい。

アニメ「ゆゆ式」としては声優の配役がとてもよかった。この一言につきる。もちろん、声優の演技だけではなく、映像作りも原作の雰囲気をよく表せていてとても筆者好みの作品だ。

有名であるがアニメ「ゆゆ式」第2話冒頭で登場する「なんつってつっちゃった」はリズムを「なんつってつっちゃった」として小気味よいリズムにして表現したのは非常に秀逸だ。これは漫画ではなく、音声と映像というメディアの特性を活かしたものであったと考える。知識をひけらかすようだが、筆者は大学では文化と言語を専攻していたため映像論としても興味があり真剣に考察をしたい分野ではある。

もちろん制作チームの技術に声優の演技が載ったことにより相乗効果が発揮されたことは言うまでもない。「なんつってつっちゃった」を切り出したゆずこ役の大久保瑠美さん、それを拾う形の縁役の種田梨沙さん、唯役の津田美波さんの演技と掛け合いは視聴者が一気に心を持っていかれる表現だったと筆者は感じる。このシーンがあったこともまた、アニメ「ゆゆ式」にのめり込むきっかけであり、筆者がアニメや漫画に興味を持ったきっかけになったと思える。

そんな「ゆゆ式」であるが、アニメ第1話と最終話にはある仕掛けが仕組まれている。それを記事で種明かしをするのはネタバレすぎるので明かさないが、ぜひあなたの目で確かめてほしい。

「ゆゆ式」休載の理由

2025年6月9日に漫画「ゆゆ式」の休載が発表されたのだが、理由については作者の三上小又氏が公式Xでポストしているが5月末に突発的な体調不良に見舞われ数日進行が遅れたことが原因とのことである。

締め切りに追われる職業である漫画家だからこその休暇の取りにくさなどもあるのかもしれない。体調不良が原因とXにポストされているが、快方に向かっているとも同じポストの中に記載されているためひとまず安心できそうである。

作者の三上氏の体調が一日も早く万全になり、今後の「ゆゆ式」を楽しく拝読させていただけることを筆者は楽しみにする限りである。

この記事の最後は三上氏の健康を祈り締めさせてもらうことにする。これからも三上小又氏の創造する「ゆゆ式」ワールドを楽しませてもらいたい。

※サムネイル画像はテレビアニメ「ゆゆ式」公式Webサイトより引用

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